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<頂き物 その3>
日曜日の朝。ミリィは休み、俺は出勤だ・・・
「ディアッカ、今日午後に美容院行って来る」
「髪切るの?」
「うん、大分伸びたしこの前良さそうな所見つけたの。行ってみたくって」
「今のも十分可愛いのに。どうゆうのにするの?」
「前にしてたやつ。首のあたりでピョイっとはねさせてた」
自分の髪を持って「こんな感じ」と見せるその仕草がカワイイ
今のミリィの髪は肩まで伸びていてはね方も以前ほどではない
おろしている状態もいいが、家で作業する時はアップにしていてうなじがなんと
もいえない
もったいないなー、でもあの毛先をはねさせた髪型も彼女に似合っていて好きだ
ったのだ
まぁミリィに似合わない髪型なんてないんだけど
「あれも似合ってるもんな。で、どこの美容院行くの?」
「ほら、いつも買い物に行く途中にレンガ造りの建物あるでしょ?あそこの隣に
ある美容院」
「あ、あれね。分った。帰ってくんのが楽しみだな」と名残惜しそうにミリィの
髪を触った
「もう。前と変わらないわよ」とミリィは頬をほのかに染めていた
休みの日にミリィと離れているせいかやる気が出ない
デスクについてもミリィの事を考えていた
あの髪型を初めて見たのはAAの通路でだ。彼女の髪に初めて触ったのは・・・
と過去を回想していた
コーディネイターだからなのか軍人だったからなのかは分らないがディアッカの
記憶力は素晴らしく、ミリィとの出会いから最近の事までありとあらゆる事がイ
ンプットされていてしかも瞬時に引き出せる
ずっと髪の事を考えていたらふっと思い当たった
髪を切るという事は誰かがミリィの髪に触るという事に
誰かがミリィの髪に触り、誰かがミリィの頭を洗い、誰かがミリィの髪を切る
「・・・・・・・」
俺以外の人間がミリィの髪に触る
それが男だったりしたら・・・
ディアッカの他にも休日出勤している者は何人もいる
皆多くの仕事を抱えて手一杯なのに自分の世界に浸っている者約1名
休日出勤の時は(普段も時々)いつもあんな感じなので皆放っておいている
10分近く経ってもあのままなら書類を手渡しして現実の世界に引き戻す
今日も仕事は手につかず別世界に行っている
口元が綻んでいるので一目瞭然
そろそろ書類でも・・・と思っているとディアッカが急に眉間に皺を寄せブツブ
ツと何か言い始めた
小声なので内容は聞き取れないが時間が経つにつれディアッカの背後に不穏な空
気が漂ってくる
「おい、どうしたらいいんだ?誰か声掛けに行けよ!」
「そーゆーおまえが行けよ!」
「やだよ。あんなのに巻き込まれるのは!」
「・・・・・・・」
「誰か、ジュールさん呼びに行け!」
「アッ!」
「どこにいんだよ?」
「しらねーよ!とにかく探してこいよ!」
部下が右往左往している時
ディアッカは結論を出していた
「ミリィを美容院に行かせなければいい!」
そうだミリィが美容院に行かなければ他の男(既に男と決定している)に触れら
れる事はないのだ
髪の毛くらい俺が切ればいいし
こうしてはいられない!直ぐに帰って止めさせよう!!
ガタッと立ち上がると周囲は皆ビクッと固まった
「何?どおした?」
「いえ〜、何でも・・・」
「エルスマンさん、この書類・・・」
と皆一様に小声で言っている
ディアッカは書類を手に取り現実に戻った
朝から何も仕事をしていない
しなければならない事は山ほどあるのにだ
これで帰ったらイザークがブチ切れるのが目に見える・・・
仕方がない、最低限の仕事だけはして行こう
ミリィが美容院に行くのは午後
それまでにウチに帰ればいいのだから
幸いイザークは午後から会議が続き顔を合わせる事はない
イザークには悪いがミリィの一大事(?)
早退させて貰う!
まぁ仕事をしておけばアイツの文句もいくらかは減るだろう
余談ではあるが翌朝イザークが地を這うような声で「ディアッカ〜!」と言った
後、大音量で怒鳴り続けたのは言うまでもない
ディアッカが急に凄いスピードで仕事を始めたので周りは驚いたが、仕事をして
くれるなら何の文句もない
皆ホッとして各々のデスクに戻った
しかし平穏に仕事が出来たのは午前中だけ
ランチから帰ってきたらディアッカはいなくなっていた
「俺明日休みてー・・・」
「俺も・・・午前中休もうかな」
「朝一からあの怒鳴り声を聞くのか?」
「朝でなく午後ジュールさん顔出した時点で聞くんじゃないのか?」
「ハァ〜・・・」
ディアッカは最低限すべき事だけ済ませ早退して来た
それでも職場を出たのは1時近かった
確認で自宅に電話をすると誰も出ない
「ヤベエ!ミリィもう出ちゃったか?」
一瞬考え自宅でなく美容院に直接向かった
入る手前で止められればいいのだから
しかし・・・間に合わなかった
ミリィは既に美容院の中で男(店長)と話をしている
鏡に向かいニコニコしながら髪の毛を手に取られていて
ものすごい嫉妬が体中を駆け巡る
中に入りミリィを連れ出そうと思ったが、ここでそういう事をしたらミリィにヘ
ンな噂が立ったりミリィが悲しむかもしれない
怒りをどうにか押さえつけミリィを見張る事にした
周りを見渡すと向かいの建物の二階にカフェがある
あの窓際ならミリィを見る事が出来だろう
俺はカフェに向かった
席に着くとミリィを確認できた
こんな所で自分の優れた視力が役に立つとは思わなかった
コーディネイターとして生まれた事に感謝したい
先程ミリィの髪に触っていた男(店長)はまだミリィの隣に立って話をしている
あいつミリィに惚れたんじゃないのか?
握り締めていた手に更に力が入り爪が食い込んでいく
しばらくすると立ち上がりシャンプー台に移った
シャンプーをするのは女
ホッとして力が抜ける
ミリィは気持ち良さそうに目を瞑っている
男でなくて良かったと心底思う
だってあんな顔されたらキスするだろ?普通
シャンプーを終え鏡の前に戻るとやって来たのはあの男(店長)
濡れたミリィの髪を触りまくっている
髪を切り始めてからもミリィに話しかけミリィも笑いながら応えていた
なんであんな男に笑いかけるんだ?
奥歯がギリギリといっている
ミリィの髪を切っていた男(店長)がいなくなり再びシャンプー台へ
きれいに洗い流してトリートメントをするのだろう
と見ているとまた別の男(インターン)がミリィの髪を洗っている!
怒りが湧き上がる
元の席に戻るとその男(インターン)がミリィの肩を揉み始めた!
ミリィの肩に触っていいのは俺だけだ!!
怒りのあまり「ダン!」とテーブルを叩く
この男(インターン)もミリィを見てニヤけている
肩や背中を揉まれて気持ち良さそうな顔をしているミリィ
なんで他の男の前でそんな顔をするのか!
マッサージも終わりドライヤーで髪を乾かしなが整えていく
以前見ていた髪型になる
綺麗にブローしたのは認めよう
だがその髪に触っていいのは俺だけだ!!
ある程度まで見届け俺は先に戻った
ミリアリアは髪を整えすっきりした気分で美容院を後にした
店長さんは親切だし技術もいいと思う。お店の雰囲気も悪くなくスタッフも対応
が良かったのでこれからはここに通うと決めた
幸せな気分で自宅に戻ったらディアッカが先に帰ってきていて驚いた
「ディアッカ!どうしたのこんなに早く!どこか具合でも悪いの?」
ディアッカが定時前に家にいるのでミリアリアは心配でオロオロしてしまった
「ミリィ、髪切ったんだね。綺麗だよ」
「・・・ありがとう」
「・・・・・・・」
「ディアッカ?どうしたの?大丈夫?」ディアッカの腕に手をかける
「ミリィ」と言うとディアッカは立ち上がりミリアリアを抱き締めた。力を込め
て
「ッ!ディアッカ?」
「ミリィ、もう行っちゃダメだ!」
「えっ?」
「美容院!もう絶対行っちゃダメ!!」
「ディアッカ?何を言ってるの?」
ディアッカの言っている事が分らない、と思っていたら体を離しガシッと両肩を
掴まれそれは真剣に切々と訴え始めた
「俺今日ミリィが美容院にいるのをずっと見てたんだ!他の男がミリィの髪を触
ると思うとジッとしていられなくて。そしたらあの男!
ニヤけた顔でミリィを見てるし、ベタベタ触ってるし。ミリィも気持ち良さそう
な顔してさ、他の男の前であんな顔して何かあったらどおすんだ!!」
「・・・・・・・・」
「分ったなミリィ!」
「・・・ディアッカ。あなた今日何してたの?」
「だからミリィが心配で見てたんじゃないか!」
「仕事はどおしたの?」
「ちゃんとやったさ!午前中に!!」
呆れて何もいえない
大の大人のする事か?
彼の頭の中で私はどーゆー事になっていたのだろうか?
美容師が髪を触るのは当たり前
マッサージされれば気持ちよくなる
何かあったらって、何もある訳ない
ふと立場を逆にして考えてみる
彼が美容院へ行き美しい女性がスタイリストとして付く
・・・別に何とも思わない。よくある事だ
再び彼の腕の中に入る
多分やきもちから来ているのだろう。心配してくれたのはうれしい
でもそれは無用の心配で仕事をほおってする事ではない
これはキチンと言わないと
こんな事が重なっては上に立つ者としての示しがつかない
「ディアッカ、何もある訳ないでしょ。そんな心配しないでよ」
「ミリィは分ってないんだ!アイツらがどんな顔で見ていたか!!」
どう言えばいいのか。溜息しか出てこない
「じゃあ私はこの先髪切れないの?」
「ん、それは大丈夫。ミリィの髪は俺が切るから。俺器用だし刃物の扱いは慣れ
てる。まぁ最初から上手くはいかないだろうけど愛を込めて切ってあげるから」
もう何を言っても無駄な気はするが一応抵抗してみる
「パーマかける時はどおするのよ?」
「そーだな、あぁ!俺が一緒に行く!」
「はぁ?」
「俺が一緒に行ってミリィの髪を触れるスタッフを選別する。もちろん全員女性
でな。髪は俺が洗うから」
冗談じゃない
そんな恥ずかしい事できるものか
しかしディアッカの目を見ると本心からそう言っているのだと分かる
今後絶対にパーマはかけないと心に決めた
彼を見ると「いい案だ」と満足げに笑っていて、それを見て私も「まぁいいのか
な」と思ってしまうなんて・・・私もどおかしている
溜息をつき彼に応える「分った。次からはお願いね。でも仕事サボるのはもう二
度としないでよ!」
「・・・・・・・」
「なんで返事がないのよ?」
「守れるか分んない事に返事はできない。ミリィに嘘つきたくないし」
・・・もう何も言わない。彼の好きにさせるのが一番なのかもしれない
「だからミリィも嘘はダメね。まぁミリィは嘘付けない子だけどね」と上機嫌顔
で私の頭を撫でている
「私はディアッカとは違いますぅー」
「うん。ミリィのそーゆー真面目な所が好き」
ミリアリアを抱く腕に力が入る
「でも真面目ばっかじゃ疲れるでしょ?たまには力を抜いてさ」と言ったかと思
うと首筋をぺロッと舐められた
「キャ!何すんのバカ!!」
「もう仕事上がっちゃったし残り少ない休日を楽しもうよ、ミリィ」
「イヤよ!離してよ!バカバカ!!」
「そんなにバカバカ言われると傷つくなー」口ではそう言っているが顔は笑って
いる
「俺今日色々やって疲れたから、ミリィ癒して」
俺は暴れるミリィを強引に担いで部屋を移った
<ジョリコ様より強奪致しました。>
まだ強引に頂いてきてしまいました。
書きたいけど、ギャグと同じくらいに甘いのって書けないおかや。
おかやが書くと年齢制限になりますし・・・(汗)
もうもう、新婚ネタとかお祭りとか、いいですよね〜。
こんな感じに可愛い感じに書けないものかしら?
・・・ふふふ。でも、実はこのお話のせいで
あるイラストが出来そうなのですよね。
ミリィの髪を洗ってるディアッカの図(裏小部屋モ−ド発動してます)
ラフはできてるんです。後は勢いですかしら。
ジョリコ様、ごめんなさい。
こんなおかやをどうか許して・・・
2005/01/13
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