『星と花の逢瀬』 サンプル文


注文を受けた店員はディアッカが背を向けた瞬間、
ミリアリアにある種の侮蔑を含んだ眼差しを向けた。
ミリアリアは気付かぬフリをしてディアッカの後ろに続く。
似た視線をこの数時間でどれだけ受けたか。
《何でこんなオンナが一緒にいるのよ?》
どの視線も無言でミリアリアにそう語っていた。
可笑しなものだ―――ミリアリアは自嘲めいた笑いを浮かべた。
ディアッカと出会ってから悩んで苦しんだ多くの時間。
けれどそれはナチュラルだとかコーディネーターだとかだけでなく、もっと命や
その人の生き方そのものを問う程の葛藤を伴うものではなかっただろうか?
少なくとも、こんな他人の視線を気にして卑屈になるような類のものではなかった
はずだ。こんな……。
二人が店を出ると同時に女の子達の黄色いどよめきが建物の中から聞こえた。
その声をできるだけ聞かないようにミリアリアはアイスクリームに意識を集中した。
アイスの中に入っていた果肉の見事な大きさにも気付ず黙々と頬張る。
ディアッカは黙ってそんなミリアリアの横顔を見ていた。
アイスってもっと甘いものじゃなかったかな。
何でだろう?少ししょっぱい……。
「ミリィ」
ディアッカの声がすぐ耳元でしたかと思うと瞼に温かな感触が降りて来て、
やがてその感触は目尻に及んだ。
「…苺…美味しい…」
目の前がゆらゆらとぼやけるのはどうしてかな……。
「そう…」
ディアッカの息が優しく頬に当たる。
「ディアッカのも、美味しい?」
「美味しいよ」
頬に触れた彼の唇はどこまでも温かい。肩の力がすっと抜ける。
「ホント?…良かった…」
「ミリィにも味あわせてあげる」






M様2



トップへ
戻る



エアリス愛!